――残渣と緑肥を“味方にする”という考え方――
こんにちは、モブ農です。
■「良い土」は資材より“時間”で変わることが多いと感じています
先日の記事「稲わらの早期鋤込み」という記事から
野菜栽培の土づくりについても考えてみました。
土づくりは“何を入れるか”よりも“どれだけ時間をかけられたか”で変わっていく ように感じています。
残渣や緑肥をすき込んだあと、
つい「すぐに次作を植えたい」と思ってしまいますが、
土が落ち着くにはどうしても一定の時間が必要だと実感しています。
この“待つ時間”を上手に使えると、
深耕や資材に頼りすぎずに、再現性のある栽培になりやすいのではないかと思います。
■ 残渣と緑肥は「時間さえあれば資源に変わる」
野菜残渣、雑草、緑肥は、本来畑を育てる資源だと思っています。
ただし、それが力を発揮するのは、
「環境」+「時間」
が揃ったときではないかと感じます。
すき込んで間もなく次を植えると、
- 酸素不足
- 糸状菌優勢期の根傷み
- 有機酸・ガスの発生
- 初期生育のムラ
こういった“分解初期の揺れ”が作物に触れてしまいます。
でも、これは自然界では普通の現象で、
3〜4週間の時間とともに自然と落ち着いていく ように思います。

■ 時間が整えてくれる3つの変化
●① 土壌が“静かな状態”になる
すき込み直後は微生物の活動が激しいですが、
時間が経つと群れが落ち着き、
根が入りやすい“静かな土” になっていくように感じます。
これは資材だけでは作れない部分ではないでしょうか。
●② ガスや有機酸が自然に抜ける
すき込み後には一時的に、
- 酢酸・酪酸などの有機酸
- CO₂の滞留
- わずかなpH低下
こうしたものが残りますが、
時間とともに自然に抜けていきます。
根を入れるなら、
余分なものが抜けてからのほうが安全だと感じます。
●③ 団粒がゆっくりできる
分解で生まれる菌体が土をつなぐことで、
ふわっとして締まる土 が自然にできていきます。
これは急いで耕しただけでは得られない構造だと思います。
■ 深耕しすぎると“分解のバトン”を落とすことも
緑肥を早い段階で深くすき込むと、
自然の分解の流れが途中で切れてしまうことがあるように感じます。
深耕すると、
- 有機物が酸素のない層に入る
- 嫌気発酵しやすい
- 糸状菌優勢期のまま根に触れる
- 分解が遅れて生育ムラ
こうした現象が起きやすくなります。
自然に任せれば資源になるはずのものが、
“深さとタイミング”次第で逆方向に働くこともあると感じています。
■ 「自然に任せる」は放任ではなく“戦略的な余白”
時間に任せるというと、
何もしないように思われるかもしれませんが、
実際には“自然が働く環境だけ用意して待つ”という技術だと思っています。
たとえば、
- まず浅耕で酸素を入れる
- 10〜20日後に中耕で分解を促す
- 深耕は落ち着いてから
- 次作は土の“静けさ”を見ながら入れる
こんな流れだけでも、資材に頼らず分解が進みやすいと感じます。
■ 現場で感じる「時間の力」
時間を置くだけなのに、
- 土が締まりにくい
- 根張りが良い
- 病害が出にくい
- 肥料の効きが安定
- 生育の再現性が高まる
こういった効果を感じます。
特に再現性が高まるのは大きくて、
農繁期のストレスが減ります。
■ まとめ
野菜栽培の“土づくり”は、
スペシャルな資材よりも、
「残渣や緑肥が落ち着くまでの時間を確保する」
この一点が大きいように思います。
時間は無料で、
最大級の“自然の土壌改良材”でもあり、
再現性を高める重要な要素だと感じています。
今年もまた、忙しい中でも
「待つ余白」 を畑に残しながら良い土を育てていけたらと思います。
🌱畑にいるよ
今日も残渣が少しずつ静かになっていくのを感じながら、次の段取りを考えています。


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