こんにちは、モブ農です。
今日は 「稲わらの早期鋤込み」 について、私自身が現場で感じていることを書いてみます。
稲刈りが終わるとすぐ、どうしても気になるのが
「なるべく早く、わらをすき込みたい」 という感覚。
農繁期でバタバタしているのですが、この“早さ”が翌年の田んぼづくりに効いてくるように思っています。
土づくりは資材よりも“時間”が決める部分が大きいのではないか。
稲わら早期鋤込みは、その一番分かりやすい例だと思っています。


■ 稲わら分解は「積算温度」で決まる
稲わらの分解に必要なのは 約1000℃日(積算地温) と言われます。
イメージとしては、
- 地温20℃ × 50日 → 1000℃
- 地温15℃ × 約67日 → 1000℃
こんな感じです。
つまり
地温が高い秋のうちにどれだけ時間を稼げるか が勝負になります。
11月後半〜12月になると地温が急に落ち、
分解はほぼ止まってしまうので、
稲刈り後の 最初の1週間 がとても大事だと感じています。
■ 早期鋤込みがもたらす3つのメリット
●① ヒエ・雑草が走りにくくなる
稲わら分解が秋のうちに進むと、春に
- 表面に未分解わらが残りにくい
- 地温が上がりやすい
- 窒素の動きが安定
こうした“整った”環境ができます。
「わらが残るとヒエが走る」というのはよく言われますが、
実際は わらの残存 → 地温低下 → 表層環境の悪化 が大きいのだと感じています。
●② 苗の入り(活着)が安定しやすい
早くすき込むほど、春には
- 分解が進んでいる
- ガス抜けが済んでいる
- 微生物の活動が落ち着いている
そんな状態になり、根の入り方がスムーズになる印象です。
逆に12月鋤込みだと、
春になっても微生物が“初期分解”をしていて、
苗周りが落ち着かず、初期生育にムラが出ることがあります。
●③ 春作業がとても楽になる
- ロータリーが詰まりにくい
- 土が均一に仕上がる
- 代かきのムラが減る
こうした効果で「春の作業性」がかなり良くなります。
地味ですが、年数を重ねるほど効いてきます。
■ 忙しい時期に“あえて早くすき込む”という考え方
稲刈りの時期は、
- 大豆
- 秋野菜
- 緑肥
- 出荷ラッシュ
と、仕事が重なる農繁期です。
正直なところ、
稲わらすき込みは後回しになっていました 。
でも私は、
この時期の 1〜2日の差が、翌年の田んぼの状態を分ける と感じています。
資材を入れるより、
田んぼに“時間”を与えるほうが効果が大きい
そんなこともあるように思っています。
■ 土づくりは「資材」よりも「時間」
最近は、
- 分解促進剤
- 微生物資材
- 有機液肥
など、便利な資材も増えていますが、
稲わら分解については、
最大の効果をもたらすのは“資材”ではなく“時間”そのもの
だと感じています。
早期鋤込みは、「時間を田んぼにかける」という行為そのもの。
田んぼが自然に分解してくれる環境を用意してあげるだけで、
土は勝手に良い方向へ向かっていくと思っています。
■ モブ農のまとめ
- 稲わらの早期鋤込み=「土に時間を渡す作業」
- 積算温度を稼ぐことで分解が進む
- 雑草リスク・苗の入り・春作業に全部効く
- 忙しい時期の“1日・2日の差”が翌年の栽培に響く
- 資材に頼るだけでなく「時間設計」も土づくりの大事な要素
私はそんなことを考えながら、
今年も稲わらの鋤込みタイミングを決めていこうと思います。
畑にいるよ
今日は夕方でもまだ少し暖かくて、田んぼの土の匂いが心地よい日でした。
作業をしていると、来年の姿がなんとなく見えてきますね。


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